参考文献・参考ウェブサイト

DOORS Web OPAC

 <目次>

読書案内
(最新の更新日:
 2005年5月2日)


政治学への道案内
(最新の更新日:
 2005年5月2日)


日本政治入門
(最新の更新日:
 2005年5月2日)


◆現代民主主義論
◆官僚制と政治
(未作成。かつて旧カリ
キュラムで「行政学1」
という講義を担当して
いたが,授業の構成も
半分程度変わっている。
 それでも半分程度は
参考になると思い,と
りあえず掲載しておく。


◆地方自治2
(未作成。当面は,
『地方自治』参考文献
・サイト
を参照。)


行政学1
(最新の更新日:
 2006年10月16日)

◆行政学2
◆特殊講義
 (自治体講座)

 


▽読書案内
(注意事項)


 このページは,2000年代初頭に作成し,数年間にわたって更新しましたが,その後は一切更新していません。したがって,ここで紹介されている個々の文献は,今となっては必ずしも適切な読書案内となっているとは限りません。しかし,読書をめぐる一般的な諸注意の部分は,おそらく,現在でもそのほとんどが妥当すると思います。その意味で,このページを残しています。ご利用にあたっては,その点を十分にご注意ください。(2012年10月)
 このページは,学生が自習のための読書をしたり,講義に関して発展的学習をするための参考になるように書いたものです。新入生は(上級生も),政治学に関する読書をするという習慣をなるべく早く身につけてください。講義における知識の伝達は,いわば消化しやすいように噛み砕いて食事を与えるような行為ですが,皆さんには,なるべく早く自力で知識を吸収するようになっていってほしいと思います。
 なお,大学院進学を少しでも考えている学生は,以下の「◆専門書へのいざない◆」を必ず読んでください。(2002年4月)

絶版について
 残念ながら,よい本はあまり売れません。以下の本のほとんどは絶版か品切れになっています。図書館で借りて読んでください。
 絶版になったことを私が知っているものについては,「絶版」と記していますが,それ以外にも,絶版になっているものがあるかもしれません。その場合はご容赦ください。

読書へのいざない
 学生の中には,難しい本を多少なりとも読もうとする人と,難しい本をほとんど読もうとしない人がいます。私が思うに,おそらく,難しい本を読もうとしない学生は,本というものには読んでもわからない部分が相当程度含まれているという当たり前の事実に耐えられない,あるいは慣れていないのだと思います。
 高校までに読んできた本は,たいていの場合,みなわかりやすいものです。教科書は先生がわかりやすく解説してくれますし,また,参考書も発達しています。なぜこうしたことが可能になるかというと,高校までは,習うべき知識がほぼ定型化されている(決まりきっている)からです。ですから,本の書き手は,それをわかりやすく整理して伝えるという一点のみに精力を集中することができます。何を伝えるかで悩む必要がありません。どう伝えるかだけが競われているわけです。すべてのことが既知であり,未知の部分が全くないから,知識を整理することも比較的容易です。
 これに対して,大学で習う知識はそうはいきません。というよりも,大学に限らず,世の中のほとんどの知識は多少なりとも混沌としています。時代の変化に応じて,既知の知識の中に未知のものが絶えず入り込んでいます。そうしたものを整理し,伝えていくという作業はたやすいことではありません。
 完全に整序された知識の世界(実は虚構の世界です)などというものは初等・中等教育の中にしか存在しないという当たり前の事実を自覚した時に,皆さんの豊かな読書は始まると思ってください。もちろん,本の書き手は,難しいものを可能なかぎり平易に表現するための努力を惜しんではなりませんが…。
 さて,このように言うと,大学での読書はとても難しいことのように聞こえてしまい,尻込みするかもしれませんが,そんなことはありません。最初はわからないことばかりでも,その分野に関する様々な書物に当たっていくなかで,次第にわかる部分が増えていき,気がついてみるとさほど苦労せずに理解できるようになっていくと思います。このことは,学問に限らず,例えば趣味の世界などでもよく起きることです。ですから,とにかく興味をもって読み始めてください。とはいえ,分からない部分があってもそれを頭の中で留保しながらとりあえず次の部分に進んでいくという読み方は,通常の読書に比べて知的緊張を強いる読み方であることも事実です。そうした読書のやり方に早く慣れるようにしてください。
 おそらく,私以外の教員も,それぞれの授業の中で,何らかのかたちで「読書案内」に類することをやっていると思います。どんなところからでも構いませんから,自分の興味関心を見つけ,本を読み始めてほしいと思います。

専門書へのいざない
 研究者が書く文章は,大きく分けて,次の3つがあります。第1は,学生を主たる読者と想定して書かれたもので,教科書がこれに当たります。第2に,一般市民を対象として書く文章です。例えば,『中央公論』,『世界』などのいわゆる総合雑誌(論壇誌)に書かれた論文がこれに当たります。また,単行本でも,いわゆる新書(岩波新書,中公新書,講談社現代新書など)はおおむね一般市民が読者として想定されています。第3は,研究者が同業の研究者を主たる読者と想定して書く文章で,専門書や研究論文がこれに当たります。研究者の書いた文章を読む場合は,その文章がこの3類型のどれに当たるかを考えながら読むようにしてください。(ただし,第2類型と第3類型は必ずしも厳密に分類できない場合があります。)
 政治学を学ぶ以上は,最終的には,政治学に関する専門書や研究論文を読めるようになってください。学生生活のできるだけ早い時期に,自分の興味関心で専門書や研究論文を読むようになってほしいと思います。
 そうはいっても,専門書や研究論文は簡単に読めるものではありません。何しろ,専門家が専門家を主たる読者と想定して書いているものですから。とはいえ,専門書や研究論文の中にも,苦労をすれば初学者でも何とか読めるものがあります。そうしたものを見つけて,なるべく早く専門書や研究論文の世界に参入してきてください。いずれは,授業と教科書だけの世界から抜け出してほしいと思います。
 一般に,初学者でも何とか読める専門書や研究論文の条件は,(1)初学者でも関心をもてる対象について書かれたものであること(なじみのある対象),(2)専門家に固有の問題意識ではなく,初学者でも共有できる問題意識で書かれたものであること(問題意識の共有),(3)分析手法が難しすぎないことの3点です。このすべての条件を満たしているものは必ずしも多くありませんが,ないことはありませんし,また,学習を続け,皆さんが初学者でなくなれば,これらの条件は次第にクリアされていきます。
 専門書というのは,研究者が何らかの「問い」を設定し,分析の視点を定め,対象を限定し,ある手続にしたがって論じていくものです。そうした知的営みの面白さを,ぜひ私たち政治学者と共有できるようになっていってほしいと思います。
 とりわけ,大学院進学を考えている学生は,専門書や研究論文を読むという習慣を,なるべく早く身につけるようにしてください。大学院でやることは,「勉強」ではなく「研究」です。研究者の知的営みがどのようなものであるのかについて,できるだけ早く理解しておいてください。

[▲TOP]    DOORS Web OPAC]


■政治学への道案内

 このコーナーは,これから政治学を勉強しようとする学生にとっての読書の手引きとして書いたものです。
 政治学は,心理学のように固有の方法論をもっていませんし,また,経済学のような意味での体系もありません。ですから,読書を始める場合も,あまり難しく考えず,とにかく興味のある部分を見つけて,そこから読み始めてください。

教科書

 教科書はいずれも一長一短あり,完全に自信をもってお薦めできるものはありません。白状すると,私自身,学生時代に教科書という書物を読むのはかなり苦痛でした。
 政治学の場合,経済学のような意味での積み上げ型の学問ではありませんので,以下の教科書も,必ずしも1章から順番に読む必要はないと思いますし,また,全部を通読する必要もないでしょう。気が向いた時に,興味のあるところをつまみ食い的に読んでも一向に構わないと思います。とにかく,少しでも興味の湧きそうな,あるいは理解できそうなところから読み始めてください。

 以下の教科書は,最初の2冊は超初学者向け。学生が政治学という学問にとりあえず面白がって「参入」してくれることを目指して書かれた教科書。わかりやすい事例などがふんだんに使われており,また,学生が苦労せずに読めるページ数だが,一般に教科書に期待されている理論・学説・事項などの要点整理という役割は果たしていない。
 逆に,3冊目以下は,理論・学説・事項の整理という教科書本来の役割は果たしているが,必ずしも学生にイメージを喚起させるような書き方にはなっていないかもしれない。

真渕勝ほか『はじめて出会う政治学〔新版〕』(有斐閣,2003年)1800円+税

伊藤光利編『ポリティカル・サイエンス事始め〔新版〕』(有斐閣,2003年)1900円

久米郁男ほか『政治学』(有斐閣,2003年)3400円+税

 最近では珍しい500頁を超える大部な教科書。全部を読み通すのは大変だろう。興味のあるところから読んでほしい。

伊藤光利ほか『政治過程論』(有斐閣,2000年)2200円+税
 中級者むきの教科書として,お薦め。

川人貞史ほか『現代の政党と選挙』(有斐閣,2001年)1500円
 政治学全般を網羅したものではないが,政党と選挙に関するよくできた教科書。

村松岐夫ほか『日本の政治(第2版)』(有斐閣,2001年)2000円+税
 やや上級者むきだが,現代日本政治を理解するうえでの好著。


辞典・事典

阿部齊ほか編『現代政治学小辞典(新版)』(有斐閣,1999年)4100円+税
 ハンディ・タイプの辞書。

 より本格的なものとしては,次の2冊がある。

『新訂版 現代政治学事典』(ブレーン出版,1998年)32000円+税
 この値段だと,さすがに手が届かないだろう。図書館で閲覧してほしい。

猪口孝ほか編『政治学事典』(弘文堂,2000年)18500円+税
 弘文堂のこの事典は,最近になって廉価版(といっても税込みで6300円)で再版された。何とか手の届く値段になったので,できれば買ってほしい。


英語の勉強のために

ロバート・A・ダール『デモクラシーとは何か』(岩波書店,2001年)2800円+税
(Robert A. Dahl,On Democracy (Yale University Press,1998))
 本書は,20世紀後半を代表する政治学者の一人であるロバート・ダールが民主主義をわかりやすく語った好著。原書も比較的平易な英語で書かれている。図書館に複数あり。英語の学習に最適なので,できれば原書で読んでほしい。


政治学の年報類・シリーズもの

『現代政治学叢書』(全20巻,未刊あり)東京大学出版会

『「現代の政治学」シリーズ』(全7巻)東海大学出版会
 以上2点はいずれも1980年代後半に刊行された。学部生には難しいものもあるが,ぜひチャレンジしてほしい。

日本政治学会編『年報 政治学』(岩波書店)1950年以降毎年刊
 日本政治学会の学会誌。最近になって,出版社が木鐸社に変わり,年2回刊行となった。

『レヴァイアサン』(木鐸社,1987年〜)年2回刊行,随時臨時号あり
 1980年代以降の日本の「実証主義的政治学」(いわゆる「レヴァイアサン政治学」)を代表する雑誌。なぜかトマス・ホブズの古典からタイトルをとっているが,政治思想の雑誌ではない。
 『年報 政治学』も『レヴァイアサン』も学部生には難しい論文が多いと思うが,このような雑誌があるということは知っておいてほしいし,また,できれば,読めそうなものを見つけて読んでほしい。


戦後政治史

 政治学を学習するためには,戦後日本の政治史についての最低限の知識が必要であるが,これについては,「■日本政治入門◆戦後政治史の概観と55年体制◆」で紹介したものを読んでほしい。

 そのうえで,もっと詳しく学びたい学生には,以下のものがお薦め。
 自民党長期単独政権の崩壊とその後の連立政権時代の政治過程を詳しく知るためには,とりあえず次の本がお薦め。

伊藤惇夫『政党崩壊』(新潮新書,2003年)680円
 著者は元政党職員(自民党→新進党→太陽党→民主党)でこの間の政党の離合集散を至近距離から眺めてきた。政党で主に「広報」を担当してきたとあって,著述はきわめてわかりやすく,また,この間の重要な事実について,比較的過不足なく書かれている。
 ただし,何といっても当事者であっただけに,特定の政治家に対する評価についてかなり辛辣なところもあるが,まあそれも仕方のないところか。もうひとつ,この間の政党再編と今後の政党政治の行く末についてこの著者はかなり否定的だが,この点について,市川はむしろ肯定的に捉えている。おそらく,政治を間近に(というよりも当事者として)観察していただけに,「あの時あの人がこうしていれば今の政治はもっとよくなっていたのに…」という思いが強いのであろう。

 その他には,

大嶽秀夫『日本型ポピュリズム』(中公新書,2003年)920円
 日本を代表する政治学者が,いわゆる小泉・真紀子現象を扱った著書。
 冒頭の解説の部分は著者が別のところで書いたものの焼き直しだが,初めて読む者にはかえってわかりにくいだろう。本論である第1章第二節(43頁)から読んだ方が,むしろわかりやすいように思われる。

 『首相官邸の決断 内閣官房副長官石原信雄の2600日』(中公文庫,2002年)800円+税
 竹下内閣から村山内閣までの7年間にわたり内閣官房副長官(首相官邸の事務方の最高責任者)を務めた石原信雄による現代日本政治史の貴重な証言。内閣官房というところがどういう役割を果たしているか,また果たしえていないかを知るうえでの好著。ただし,内閣官房というところについての知識や,首相のリーダーシップということについてのイメージを全くもっていない者にとっては,少々わかりにくいだろう。

 以下は,戦後政治史についてもっと細かいところまで深く知りたいという人向き。

石川真澄ほか『戦後保守政治の軌跡』 上・下(岩波書店,1994年)各冊971円+税
 3人の政治記者による鼎談。裏話なども披露されており,面白い。ただし,これは80年代初頭に出た本の再版なので,80年代半ば以降のことは載っていない。もう絶版になっているかもしれない。

升味準之輔『戦後政治』上・下(東京大学出版会,1983年)絶版
   同   『現代政治』上・下(東京大学出版会,1985年)絶版
 同様に,80年代初頭までだが,きわめて詳しい。

 ここ数年来,戦後政治史の特定の部分や特定の事件を対象とする本格的な研究書が刊行されている。これらについて,市川は読んでいないので,その正確な評価はできないし,したがって,推薦することもできないが,興味のある学生は自分の判断で読んでほしい。


戦後日本の政治学

 政治学という学問の戦後の展開を知りたい人のためには,初心者向きではないが,

大嶽秀夫『戦後政治と政治学』(東京大学出版会,1994年)2400円+税
大嶽秀夫『高度成長期の政治学』(東京大学出版会,1999年)2400円+税
 がよいだろう。また,類書としては,すでに絶版になっており,少々古いが,

三宅一郎ほか『日本政治の座標』(有斐閣,1986年)絶版
 もある。


現代政治学の主要な理論家たち

 以下の4点は,現代政治学(20世紀以降の政治学)の主要な理論家についての解説集。おそらく,いずれもすでに絶版になっているものと思われる。
 必ずしもこのすべてを読む必要はないが,目次を見て,どのような人物が現代政治学で主要な理論家とされているかを確認するうえでは便利な本である。
 いずれも10年以上前の出版であるため,この中には,現在では必ずしも重要視されなくなった理論家も含まれている。

白鳥令編『現代政治学の理論(上・下・続)』(早稲田大学出版部,1981〜85年)
白鳥=曽根編『現代世界の民主主義理論』(新評論,1987年)
佐々木毅編『現代政治学の名著』(中公新書,1989年)
足立幸男編『現代政治理論入門』(ミネルヴァ書房,1991年)


とにかく政治学の研究書を読んでみる

 とにかく難しくても政治学の実際の作品を読んでみたいという人には,とりあえず以下の3点をお薦めしておく。
 専門書の中には,専門家(研究者仲間)にしか理解できない(問題関心を共有できない)ものと,一般の読者にも何とか理解できるものがある。
 ここでは,数ある優れた研究書の中から,(1)一般の読者でも苦労して読めば理解できる,(2)絶版になっていない,(3)値段が手ごろ,(4)問いと答えが明瞭で一般読者もそれを共有できる,を基準に選んだ。

丸山真男『増補版 現代政治の思想と行動』(未来社,1964年)3500円+税
 戦後日本政治学の出発点になった論文集。本書の問いは,「戦時期の日本の超国家主義はなぜ起こり,どのような特色をもち,なぜあのような戦争を引き起こすに至ったか」。
 本書所収の論文の多くは,専門誌ではなく,『世界』などのいわゆる総合雑誌(論壇誌)に書かれたものであり,当時の一般読者を対象に書かれたものである。要するに,戦後日本の政治学は「論壇政治学」としてスタートしたわけである。その功罪については,とりあえずは上記の大嶽著『戦後政治と政治学』を参照されたいが,そうした「功罪」の判断も含めて,ここに収録されている論文,とりわけ最初の3つの論文である「超国家主義の論理と心理」,「軍国支配者の精神形態」,「日本ファシズムの思想と運動」はぜひ読んでほしい。
 丸山は,いわゆる「戦後進歩派知識人」の代表格であった。「戦後進歩派知識人」は1990年代以降急速にその影響力を失ったが,それ以前は,よくも悪くも日本の論壇と日本の社会科学を(当然のことながら政治学も)リードした。戦後進歩派知識人の思惟様式の原形を作ったという意味においても,とりあえず丸山の上記の論文にふれておくことをお薦めする。
 なお,岩波書店から『丸山真男集』(全17巻)が刊行されているので,そちらで読んでもよいだろう。ただし,『丸山真男集』は基本的に論文の執筆年代順に編纂されているため,『増補版 現代政治の思想と行動』所収の論文は(上記3論文も),それぞれ別々の巻に収められている。

真渕勝『大蔵省統制の政治経済学』(中央公論新社,1994年)2379円+税
 本書の問いは,「日本はなぜ,先進諸国の中で顕著に多い財政赤字をため込むに至ったか」。ただし,ここで扱っているのは現在の財政赤字ではなく1980年代の財政赤字。なお,この赤字はバブル景気による税の自然増収で返済できたが,その後,平成不況による税収減と景気対策の支出のため,日本は再び巨額の財政赤字をため込み,現在に至っている。
 「新制度論」という理論を扱った部分は初学者には極度に難しいと思われるので,とりあえず飛ばして読んでも構わないだろう。
 なお,本書は,純粋に専門家のみを対象に書かれており,その意味で,ここで紹介する3冊の中では,おそらく最も専門書らしい専門書であるといえる。

大嶽秀夫編『政界再編の研究』(有斐閣,1997年)2800円+税
 本書の問いは,「政党本位,政策本位の選挙を実現するという触れ込みで,旧来の中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に改正されたが,本当にそのような選挙は実現したのか」。本書は1996年の総選挙を分析している。とくに,1・3・4・11章および結語がお薦め。
 本書は,専門の研究者のみでなく,おそらく一般の市民も読者として想定されているものと思われる。
 なお,大嶽が本書で示している選挙制度改革に対する評価は,北岡伸一「与党と野党の政治力学」『中央公論』1997年1月号(その後,北岡伸一『「普通の国」へ』中央公論新社,2000年,所収)とかなり異なっている。読み比べることをお薦めしたい。

[▲TOP]    DOORS Web OPAC]


■日本政治入門

教科書

 この講義では,教科書は使わない。参考文献は以下のとおりだが,単位をとるだけだったら,講義に出席してしっかりとノートをとり,試験前にきちんと時間をかけて勉強するのが近道だと思う。
 なお,この講義の教科書はないが,これから政治学の学習を始める人のための教科書としては,このページの「■政治学への道案内◆教科書◆」を参照のこと。


族議員

猪口孝=岩井奉信 『「族議員」の研究』(日本経済新聞社,1987年)――とくに第4・5章――絶版
 族議員に関する草分け的な研究。ただし,書かれた時期が古いので現在では妥当しない記述もある。

新藤宗幸 『財政破綻と税制改革』(岩波書店,1989年)131-141頁絶版
 族議員現象に関して,猪口=岩井とはやや異なる解釈を示している。

自民党政務調査会(政調会)
 正副部会長の名前が出ている。私は最近初めて知ったが,自民党政調会の部会は,衆議院の選挙制度改革後,自由参加型組織になったとのことである。したがって,かつてのように,部会員の名前と人数を特定できなくなったようである。

真渕勝ほか 『はじめて出会う政治学〔新版〕』(有斐閣,2003年)第1章
 「鉄の三角形(鉄の三角同盟)」については,とりあえずこれを参照。この本は,できれば買って読んでほしい。

岩井奉信 「新『族議員の研究』」『エコノミスト』2002年3月12日号
 『「族議員」の研究』の著者のひとりが,一般の読者を対象に,前著の内容を端的に要約しつつ,小泉首相と「抵抗勢力」との関係を論じつつ,首相のリーダーシップの確立にとって何が必要かを述べた論文。各族議員の「一覧」が載っており便利。


国会審議

岩井奉信 『立法過程』(東京大学出版会,1988年)――とくに第6章――
 この本は55年体制末期のいわゆる「国対政治」爛熟期を対象として書かれたものである。
 現在では,ここで書かれているような与野党間の水面下での折衝はかつてほど重要でなくなっているし,「ウラ取り引き」もなくなっているものと思われる(たぶん)。むしろ,「シナリオなき国会審議」が最近の特色であるともいえる。しかし,野党は,現在でも審議時間の制約を利用して,審議の拒否や引き延ばしなどの戦術をとることが多い。「議案そのものをめぐる攻防」とともに「議事日程をめぐる攻防」が今なお重要な意味をもっている。その意味で,本書の記述は現在でも妥当する部分が多いように思われる。
 本書刊行後,通常国会の開会時期が変わるなど若干の変化が見られる。国会の制度と慣行や諸外国との比較については,大山礼子の以下の著作を参考にしてほしい。
 なお,55年体制下における立法過程研究の現時点でのひとつの到達点は,おそらく,増山幹高「国会運営と選挙」『選挙研究』第16号(2001年)であろう。モチヅキ=岩井説をはじめ諸説を的確に把握したうえで,データに基づきそれらを検証し,自民党一党優位の下での国会審議における与野党関係について議論を深めている。ただし,きわめて専門的で学部生にとっては少々むずかしいか。
 また,このほかに,上記の真渕勝ほか 『はじめて出会う政治学〔新版〕』(有斐閣,2003年)第7章も参照。

大山礼子 『国会学入門〔第2版〕』(三省堂,2003年)
 日本の国会の制度と慣行について,歴史的に,また諸外国との比較のうえで的確な考察をしている。

 以下のウェブサイトも参考になる。

内閣法制局〜各国会ごとの提出法案・成立法案一覧など。

衆議院〜審議中継,国会会議論検索システムなど。

参議院〜審議中継,国会会議論検索システムなど。


後援会と選挙制度改革

石川真澄=広瀬道貞 『自民党』(岩波書店,1989年)第3章絶版
 書かれた時期が古いので現在では妥当しない記述もあると思われるが,後援会が2つの異質な部分――それぞれ全く別の「論理」によって成り立っている――より構成されているという指摘は大いに参考になる。

大嶽秀夫編『政界再編の研究』(有斐閣,1997年)――とくに第1・3・4章・結語――
 本書は,衆議院選挙制度改革後の最初の総選挙(1996年10月)についての研究。宮城1区などいくつかの選挙区の後援会の実態が詳しく描かれている。大嶽らは,選挙制度改革について消極的な評価を下している。 なお,この評価は,北岡伸一「与党と野党の政治力学」『中央公論』1997年1月号(北岡伸一『「普通の国」へ』中央公論新社,2000年,所収)とかなり異なっている。読み比べることをお薦めしたい。

高畠通敏『地方の王国』(潮出版社,1986年)絶版
 1980年代の草の根の自民党政治を描いた政治学者による優れたルポルタージュ。特に,田中角栄の後援会である「越山会」を描いた2つの章はお薦め。ほかに,「たけしのTVタックル」などでおなじみのハマコーこと浜田幸一が現役の代議士だった頃を描いた章もあり,その意味でも面白いかも。この本はその後,岩波書店からも解説つきで再版されているので,そちらで読んでもよいだろう。

※後援会について,より詳しくは,講義で配布するプリントの「後援会関連文献」を参照。


自民党の派閥

 派閥についてはなぜか過不足なく叙述しているものが少ないが,その後の自民党研究の嚆矢となった次の文献をとりあえず参照してほしい。

佐藤誠三郎=松崎哲久 『自民党政権』(中央公論社,1986年)第3章絶版


戦後政治史の概観と55年体制

◇戦後政治史の概観
石川真澄(山口二郎補筆)『戦後政治史 新版』(岩波新書,2004年)
 著者は,朝日新聞の政治部記者として活躍後,大学教授となった。戦後政治史について過不足なく整理している好著だが,コンパクト過ぎて,戦後政治史についての知識とイメージをもっていない初学者にはかえってわかりにくいか。以下の北岡著がお薦めなのだが,残念ながら絶版。図書館で読んでほしい。出版されているものとしては,以下の渡邊編著に当たってほしい。

北岡伸一『自民党――政権党の38年――』(読売新聞社,1995年)絶版

渡邊昭夫編『戦後日本の宰相たち』(中公文庫,2001年)1000円+税
 章によって出来不出来があり,全体としての統一感に乏しいが,戦後政治史を詳細に扱った手ごろな値段の類書はいずれも絶版になっている。その意味で,とりあえずお薦め。興味のひかれるところを拾い読みしても構わないだろう。

 最近,「戦後政治史について勉強したいが,日本史についてほとんど知識がないのでどうすればよいか」とか,「課題文献の石川著『戦後政治史』だけでは戦後の日本政治史についてイメージがつかめないので,参考となる文献を紹介してほしい」という質問を受けることが多い。
 そうした学生には,下記のシリーズを紹介することにしている。田辺の図書館にも複数所蔵されているので,ぜひ読んでほしい。

シリーズ「日本の近代」(中央公論新社)――特に第6・7・8巻――

◇「55年体制」
 〜「55年体制」の理解のためには,以下を参照してほしい。

伊藤光利編『ポリティカル・サイエンス事始め〔新版〕』(有斐閣,2003年)第4章

佐藤誠三郎「新・一党優位体制の開幕」『中央公論』(1997年1月号)
 この論文の中で佐藤は,55年体制の簡潔な「評価」をしたうえで,今後の政党システムを「予測」している。彼の「予測」が当たるかどうかはともかく,ここでは55年体制の「評価」の部分を参考にしてほしい。

山口二郎『戦後政治の崩壊』(岩波新書,2004年)第1章
 著者は日本政治の現状について批判的に観察する政治学者である。この本の第1章で,55年体制について山口なりの評価を下している。

 戦後政治史について,より詳しくは,上記の「■政治学の道案内◆戦後政治史◆」を参照してほしい。


首相のリーダーシップの確立について

 小泉首相がいわゆる「構造改革」を進めようとしているのに,自民党の国会議員の多くはそれに反対している。自民党の総裁でもある首相の政策に対して,なぜ自民党所属の国会議員が反対できるのか。
 この問題を理解するためには,日本の政官関係(政治−行政関係)と自民党の意思決定過程の特色を理解する必要がある。これについては,上記の岩井奉信 「新『族議員の研究』」『エコノミスト』2002年3月12日号とともに,以下の文献を参照されたい。

成田憲彦 「英国はこうして政治主導を確立した」(『中央公論』2002年5月号)

G・L・カーティス 「日本政治に強いリーダーが生まれない理由」( 『中央公論』2002年5月号)

飯尾潤=曽根泰教=21世紀臨調「『強い政権』づくりのための15ヵ条」(『中央公論』2002年8月号)


日本社会党について

森裕城『日本社会党の研究』(木鐸社,2001年)
 講義では戦後ほぼ一貫して政権党の座にあった自民党に焦点をを当てたため,55年体制のもう一方の主役(というには非力過ぎたが)であった社会党にはあまり言及できなかった。社会党についても詳しく知りたいという学生は,とりあえずこの文献を参照してほしい。ただし,やや専門的。


ウェブサイト

首相官邸〜首相会見,所感,政府白書,重要法案,各省庁へのリンクなど。

衆議院〜審議中継,国会会議論検索システムなど。

参議院〜審議中継,国会会議論検索システムなど。

内閣法制局〜各国会ごとの提出法案・成立法案一覧など。

 以上のほかにも,各党のホームページなども参考になる。

[▲TOP]    DOORS Web OPAC]



■現代民主主義論


[▲TOP]



■官僚制と政治



[▲TOP]



■地方自治2



[▲TOP]



■行政学1(政府体系論)

教科書

福田=真渕=縣編 『行政の新展開』(法律文化社,2002年)2800円
 市川も第2章「中央−地方関係と分権化」を分担執筆している。第4章から読み始めるとわかりやすいと思う。

西尾勝 『行政学(新版)』(有斐閣,2001年)3100円
 上記の(法律文化社の)教科書で足りない部分については,これで補ってほしい。

東田親司『現代行政と行政改革(新版)』(芦書房,2004年)2600円
 行政の基本的なしくみと慣行がわかりやすく解説されている。また,最近の行政改革の経緯・成果・課題についても簡明に叙述されている。与党の事前審査制度の改善策やキャリア官僚の人事慣行の評価などについて,筆者とやや意見を異にするところもあるが,上記の教科書とあわせて読むことをお薦めしたい。出版後わずか1年半で新版がでたが,最近の制度改正をめぐる動きなどもフォローされており(例えば,公務員制度改革をめぐる議論の動向など),便利である。

西尾勝 『行政の活動』(有斐閣,2000年)1500円
 行政の具体的な活動に焦点を当てたやや異色の教科書。

森田朗『改訂版 現代の行政』(放送大学教育振興会,2000年)2000円
 放送大学のテキスト。通常の教科書より薄いがそのぶん読みやすい。発展的な学習を望む学生にとっては少々物足りないかもしれないが,初学者が行政学という学問の概略をとりあえず把握するうえでは,ある意味でうってつけの教科書。


行政学全般

『講座行政学』(全6巻)(有斐閣,1994年)
 発展的に学習したい学生は,とりあえずこれに当たってほしい。ただし,その後,中央省庁改革(2001年)や分権改革(2000年)があったため,制度の記述については注意して読んでほしい。

日本行政学会編『年報行政研究』(ぎょうせい,各年度)
 図書館などでタイトルと内容をたどると行政学の関心の変遷を読み取れる。

雑誌『季刊 行政管理研究』(行政管理研究センター)
 行政学に関する主要雑誌。年4回発行されている。


福祉国家

◇福祉国家の発展
 福田=真渕=縣編 『行政の新展開』(法律文化社,2002年)第4章(後房雄執筆)
  福祉国家の発展と政府機能の拡大については,まずはこれを参照してほしい。初学者向けにわかりやすく書かれている。

 クリストファー・ピアソン『曲がり角にきた福祉国家』(未来社,1996年)原書は91年
  福祉国家の発展史についての詳細な研究。ビスマルク時代のドイツを福祉国家の成立期とみなしており,本講や上記の後房雄などとやや違う見解が提示されている。

 林健久『福祉国家の財政学』(有斐閣,1992年)
  財政学者による福祉国家の研究書。福祉国家の発展に関する市川の理解は基本的にこれに近い。

 宮本太郎『福祉国家という戦略 スウェーデンモデルの政治経済学(法律文化社,1999年)
  福祉先進国スウェーデンの福祉国家発展史についての政治学者による研究。

◇比較福祉国家論
 岡沢憲芙=宮本太郎編『比較福祉国家論 揺らぎとオルタナティブ(法律文化社,1997年)
  先進諸国で「戦後合意」が崩れた1980年代以降の各国の状況を丹念にフォローしている。なお,本書第6章で示されている日本の福祉国家の現状についての新川敏光の見解は,本講の立場と異なっている。

 宮本太郎編『福祉国家再編の政治 (講座 福祉国家のゆくえ 第1巻)』(ミネルヴァ書房,2002年)
  全5巻シリーズが現在刊行中。1巻のT部1章(新川敏光執筆)は,福祉国家研究や福祉国家批判の系譜,および最近の福祉国家再編の動きについて,初学者にもわかりやすく解説してあり,お薦め。また同じ巻のT部3章(水島治郎執筆)も,大陸型福祉国家(ドイツ・モデル)の1類型であったオランダが,ドイツ・モデルの困難をいかに克服してきたかについて初学者にもきわめてわかりやすく論じており,お薦め。他の巻はまだ詳しく読んでいないが,注目してほしい。

 武川正吾「グローバル化段階の福祉国家」小笠原浩一=武川正吾編『福祉国家の変貌』(東信堂,2003年)
  社会政策研究者による最近の福祉国家の変容についての平易な整理。この本は,学会の報告集にしてはどの論文もわかりやすく,参考になるものが多い。

 G・エスピン−アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界』岡沢憲芙=宮本太郎監訳(ミネルヴァ書房,2001年)原書は90年
  福祉国家の3類型を提示し,比較福祉国家論研究を大きく前進させた研究。

 G・エスピン−アンデルセン編『転換期の福祉国家』埋橋孝文監訳(早稲田大学出版部,2003年)原書は96年
  特にその第1章「黄金時代の後に?」および第7章「トレードオフの世界でのプラスサム的解決?」は,編者が上書で示した3類型の福祉国家が,経済のグローバル化の中で,福祉国家の維持や変容をめぐってそれぞれどのような解決策を模索しており,どのような困難を抱えているかについて論じている(7章の方が読みやすい)。学部生にとって決してわかりやすい記述ではないと思うが,福祉国家の現在を知るうえでの好著。

 北山俊哉「土建国家日本と資本主義の諸類型」『レヴァイアサン』32号(2003年)
  この論文の前半は,福祉国家類型論と資本主義類型論を関連させて分析している Peter Hall and David Soskice (eds.), Varieties of Capitalism (Oxford University Press, 2001) のわかりやすい紹介。後半は,前半で紹介された知見にもとづいて,公共事業大国日本の政治経済学的意味や中央−地方関係論的な意味を論じていて,きわめて興味深い。

◇日本の福祉国家の現在
 市川喜崇「分権改革と21世紀の地方自治(第4節)」寄本勝美編『公共を支える民』(コモンズ,2001年)
  日本が介護保険の導入を契機に,かつての選別主義的な福祉国家の路線(「日本型福祉社会論」)から脱却しつつあるとの立場をとり,その下での自治体のあり方や自治体の課題について簡潔に述べている。

 広井良典『日本の社会保障』第1・2章(岩波新書,1999年)
  社会保障政策全般を見渡したうえで,今後のとるべき方向性についての見通しを提示した好著。ただし,社会保障の諸制度については最低限の解説しかしていないので,初学者にはやや読みにくいかもしれない。

 宮本太郎=イト・ペング=埋橋孝文「日本型福祉国家の位置と動態」G・エスピン−アンデルセン編『転換期の福祉国家』埋橋孝文監訳(早稲田大学出版部,2003年)
  福祉国家類型論の中で「日本は収まりが悪い」,つまり3類型のどれにも当てはまりにくいと言われてきた。この論文は,G・エスピン−アンデルセン編著の翻訳書に監訳者らが載せた付録であるが,日本の福祉国家をどのような類型として捉えるべきかについて,興味深い考察を提示している。

 児山正史「準市場の概念」日本行政学会編『ガバナンス論と行政学』(ぎょうせい,2004年)
  講義の中で準市場について話したが,行政学者が準市場について本格的に論じた数少ない論文のひとつ。ただし,基本的には概念整理なので学部生にはとっつきにくいか。


中央−地方関係と地方分権改革

福田=真渕=縣編 『行政の新展開』(法律文化社,2002年)第2章(市川喜崇執筆)
  中央−地方関係については,とりあえずこれを参考にし,より深く学習したい学生は,ここにあがっている註の文献などを手がかりに学習してほしい。

市川喜崇「中央−地方関係史のなかの分権改革――福祉国家における集権と分権――」『季刊 行政管理研究』第112号(2005年)

村松岐夫『地方自治』(東京大学出版会,1988年)

西尾勝「集権と分権」『行政学の基礎概念』(東京大学出版会,1990年)
 福祉国家における中央−地方関係については,上記3つの文献を参照してほしい。

市川喜崇「地方分権と住民の課題」福島大学地域研究センター編『グローバリゼーションと地域』(八朔社,2000年)

市川喜崇「分権化と21世紀の地方自治」寄本勝美編『公共を支える民』(コモンズ,2001年)
 2000年4月に施行された分権改革の概要と評価については,この2つの論文を参考にしてほしい。より理論的な解説は,上記の市川「中央−地方関係史のなかの分権改革」を参照されたい。


連邦制
 〜アメリカ連邦制とその変容については,とりあえず次の2つを参照してほしい。

大森彌「連邦制国家」佐藤誠三郎編 『文明としてのアメリカC 自由と統合』(日本経済新聞社,1985年)

新藤宗幸『アメリカ財政のパラダイム 政府間関係』(新曜社,1986年)

岩崎美紀子『分権と連邦制』(ぎょうせい,1999年)
  連邦制研究の第一人者による研究書。各国の連邦制の状況が詳細に叙述されている。


政治−行政関係

◇統制・分離・協働/英米独の公務員制度発達史
西尾勝 『行政学の基礎概念』第1章(東京大学出版会,1990年)
  政治と行政とのあるべき関係,および英米独の公務員制度発達史の概略についてはこれを参照してほしい。公務員制度発達史について,より詳しくは辻清明の以下の著作を参照。

辻清明『公務員制の研究』(東京大学出版会,1991年)

◇上級公務員の各国比較
  〜これについては,上記の西尾著第1章にも一定の叙述がある。より詳しくは,以下の「白書」を参照。

WEB版『公務員白書(人事院年次報告書)』(平成15年度,16年度)
  15年度版には,米,英,仏,独の政治任用の実態が要領よく紹介されている。また,16年度版には,西尾勝,森田朗らによる解説論文が掲載されている。

八幡和郎『フランス式エリート育成法』(中公新書,1984年)
  通産官僚(当時)によるフランスの高級官僚育成機関ENA(国立行政院)への留学体験記。ENAやフランスの高級官僚の実情が,興味深く描かれている。

◇内閣制度と橋本行革
西尾勝 『行政学(新版)』第7章(有斐閣,2001年)
  内閣制度が3つの原則によって成り立っているという認識については,これを参照してほしい。図表がわかりやすくて便利。

穴見明「内閣制度」西尾勝=村松岐夫編『講座行政学 第2巻 行政の制度』(有斐閣,1994年)
  内閣制度の歴史的な変遷をわかりやすく叙述している。ただし,橋本行革の前に書かれたものなので,その後の制度変化については別の文献でおぎなってほしい。

山口二郎「内閣制度」森田朗編 『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)
  同じ議院内閣制をとる英国との比較のうえで日本の内閣の制度と実態を考察している。

江田憲司ほか『首相官邸』第2・3章(文春文庫,2002年)
  橋本内閣の首相秘書官(政務)だった元通産官僚(現衆議院議員)による首相官邸の機能と実態に関する解説。インサイダーがこのようなものを書いてくれると大いに助かる。

古川貞二郎「総理官邸と官房の研究」日本行政学会編『官邸と官房』(ぎょうせい,2005年)
  村山内閣から小泉内閣まで5人の総理の下で8年7ヵ月にわたって内閣官房副長官(官僚のトップ,首相官邸の事務方の総責任者)を務めた著者が,内閣官房と最近の政官関係の変化について述べた論文。なお,内閣官房副長官は3人おり,通常は2名を与党議員から(1名が衆議院議員,1名が参議院議員),1名を官僚出身者から当てる。古川は元厚生事務次官。

『首相官邸の決断 内閣官房副長官石原信雄の2600日』(中公文庫,2001年)
  古川の前任者の石原信雄のインタヴュー記録。石原は,竹下内閣から村山内閣にかけて7人の首相の下で7年4ヵ月にわたり,(事務の)官房副長官を務めた。首相官邸というところがどのような案件でどのように調整機能を発揮しているか(あるいは発揮できていないか),また内閣官房副長官がどのような役割を現実に果たしているかを知るうえでの好著。現代日本政治史の貴重な証言録でもある。

信田智人『官邸外交』(朝日新聞社,2004年)
  いわゆる橋本行革は,省庁再編とならんで官邸機能の強化を意図したが,この改革によって,政策形成過程がどのように変わったか。著者は,この点についてかなた肯定的に評価しているようである。本書は,外交政策の形成過程について書かれたものだが,第1章は,この間の制度や実態の変化などを手際よく整理しており,行政学を専攻するものにとっても大いに参考になる。第2章以下で,テロ対策特措法や有事法制など,官邸主導による外交・防衛政策の形成過程を具体的に叙述している。本書はまた,著者独自の関係者へのインタヴューをふんだんに利用している。そのこともあって,この間の官邸を切り盛りした古川前官房副長官の認識と評価に沿った叙述になっているように思われる。

菅直人『大臣』(岩波新書,2001年)
  自社さ連立政権で厚生大臣を務め,また大臣退任後は,96年12月6日の衆議院予算委員会の質問で当時の橋本首相から憲法の行政権の解釈に関する貴重な答弁を引き出した菅直人の著書。本講との関係では,第1章が重要。

行政改革会議事務局OB会編『21世紀の日本の行政』((財)行政管理研究センター,1998年)
  いわゆる橋本行革を主導した行政改革会議(行革会議)の全記録。

田中一昭=岡田彰編『中央省庁改革 橋本行革が目指した「この国のかたち」』(日本評論社,2000年)
  橋本行革についての解説と証言集。貴重な業績だが,内閣制度改革の論点についての理解がないと少し読みにくいかもしれない。

◇経済財政諮問会議
  〜橋本行革における内閣機能の強化のおそらく最大の成果は,経済財政諮問会議が新設されたことであった。小泉首相は,これを自らのトップダウン型政策決定のために最大限に活用しようとしているように見受けられる。この会議については,誕生して日が浅いためか本格的な学術論文はまだ少ない。そのため,雑誌記事や新聞の特集などが参考になる。

城山英明「政策過程における経済財政諮問会議の役割と特質」『公共政策研究』第3号(2003年)
  この論文は,経済財政諮問会議の民間委員の果たしているアジェンダ設定機能と体制内アドボカシー機能に注目している。

「特集 経済財政諮問会議 5年目の通信簿」『論座』2005年8月号
  5年目を迎えたこの会議について,雑誌『論座』が読みごたえのある特集を組んでいる。行政学者の牧原出,前内閣官房副長官の古川貞二郎の論稿やこの会議の民間委員である本間正明へのインタヴューなどをはじめ盛り沢山の内容。

読売新聞政治部『自民党を壊した男――小泉政権1500日の真実――』第4章 新政策決定(新潮社,2005年)
  本書は,読売新聞の連載記事「政治の現場」を単行本にしたもの。第4章は,経済財政諮問会議が政府の政策形成過程においてどのような役割を果たしつつあるかを叙述している。


政府と市場の関係

◇公共財,財政の3機能,「市場の失敗」
  〜これについては,財政学や公共経済学の教科書,あるいは経済学辞典などに解説があるので,各自あたってほしい。「市場の失敗」については,元官庁エコノミストによる次の記述が,我々のような経済学の素人にとっても比較的わかりやすい。

 江藤勝『規制改革と日本経済』(日本評論社,2002年)22頁

◇官庁と業界
 福田=真渕=縣編 『行政の新展開』(法律文化社,2002年)第5章3「規制と行政指導」(大山耕輔執筆)
  〜ジョンソンやサミュエルズの理論,規制の諸形態,行政指導の効果と行政手続法については,とりあえずこれで全体像をつかんでほしい。

 チャーマーズ・ジョンソン『通産省と日本の奇跡』(TBSブリタニカ,1982年)
  〜「発展指向型国家」「規制国家」という2類型を打ち出し,日本の経済発展と官庁−業界関係を論じ,多くの論争を巻き起こした記念碑的な著作。

 村上泰亮『新中間大衆の時代』第T部(中央公論社,1984年)
  〜「仕切られた競争」という概念を生みだし,通産省の産業政策と官庁−業界関係について論じた名著。なお,この授業とは直接関係をもたないが,1970年代後半から80年代にかけて起きた有権者のいわゆる「保守回帰」現象について論じた第U部も,あわせて読んでほしい。第T部も第U部も,当時きわめてよく読まれ,また現在でも多くの示唆を与えてくれる。この著作は,その後,中公文庫としても出版され,また,村上泰亮著作集にも収められている。

 樋渡展洋『戦後日本の市場と政治』(東京大学出版会,1991年)
  〜授業で使った石油化学業界の事例は,この著書の第2章第2節を参照させてもらった。

◇現代日本経済史
 〜授業を聞いて,現代日本経済史全般について関心をもった学生は,とりあえず以下の著作を参照してほしい。たぶん,これ以外にも,私の知らないもっと新しくてよいものが出版されていると思う。

 中村隆英『日本経済(第3版)』(東京大学出版会,1993年)

 中村隆英編『「計画化」と「民主化」』(岩波書店,1989年)

 安場保吉=猪木武徳編『高度成長』(岩波書店,1989年)

◇行政指導と行政手続法
 〜行政指導については,伝統的に行政法学者が論じてきた。行政学者によるものとしては次のものがある。ただし,1994年10月の行政手続法の施行後,行政指導をめぐる状況は変化しているので,それ以前の文献を読む場合は一定の注意が必要。なお,行政手続法については,やはり行政法学者が多くの研究書,解説書を出版しているので,図書館などで参照してほしい。

 新藤宗幸『行政指導』(岩波新書,1992年)

 大山耕輔『行政指導の政治経済学』(有斐閣,1996年)


[▲TOP]    DOORS Web OPAC]



■行政学2(公共管理論)



[▲TOP]



■特殊講義(自治体講座)




[▲TOP]